園長月のお便り
  • 謹賀新年
    さりげなく包み、何気なく壊さないために    園長 湯本美奈子
     今年は休園・自粛・中止・縮小と様々な対応にご協力いただきまして
    本当にありがとうございました。
    12月に入って、特に中野市内や北信圏域の感染者が増えてきて、
    どうなることかと心配しましたがクリスマス会も無事終了し、ほっとしています。

     先日テレビでコロナの影響で、引きこもりや自殺者、
    精神障害をきたす人が増大しているというニュースを見ました。
    仕事や内定を失った人は本人だけでなく家族にも大きな負担がかかります。
    経済的な不安に加え、得体のしれない誹謗中傷や差別などで
    どれだけの人が苦しんでいることか・・・。ことばの力がどれほど大きいか
    当事者の話を聞きながら思い知りました。ことばは『力』にもなり『刃』にもなること。   
    何気ないことばに傷つき、さりげないことばに支えられるということを。
     『何気ない』ことばは、自分自身が意識していないから、
    人が傷つくことにも気づかないけれど『さりげない』ことばは、
    自分が意識して相手への思いやりから出るものなので、人の力になるのです。
    考えてみれば私自身、普段『何気なく』話したり動いたりすることの方が
    多いことに気づきます。きっと知らず知らずのうちに
    嫌な思いをさせた人も多かったと思います。傷つけた人は忘れていても、
    傷ついた人は決してそのことを忘れないでしょう。
    私に会うたびに思い出すかも知れません。トラウマになったり、
    逆恨みされる事だってこのご時世、考えられなくもありません。
    それも怖いですが、何気ない一言に尾ひれがついて噂になり
    「みんな(・・・)言っているよ」になり、そのせいで引きこもったり、
    そこにいられなくなったり、自殺したりすることになったらどうでしょう。
    それこそ取り返しがつきません。何気ないことばはそこまでになる
    『刃』になることを意識しなければなりません。
    けれども「あの時先生にそう言ってもらえたから、気持ちが楽になった」
    と言われたこともあります。何を言ったか覚えていなくても、
    その人のことを思ってさりげなく言ったことばだったのでしょう。  
    私も沢山の人に、言われたりしてもらったりした『さりげない』言動に
    何度も救われたり勇気づけられました。「私はガサツな人間なので、
    カトリックの幼稚園など務まりません」と、シスターに就職を泣いて断った時
    「あなたのような人も一人や二人いた方がいいわよ」と言われたのを今でも覚えています。
    さりげなく言われたその言葉にとても救われ、
    そのお陰で今もこの幼稚園に居続けています(笑)
    ことばはその人の宝物にもなりえます。勇気をもって、さりげなく心を遣いましょう。

     みんなが不安で疑心暗鬼になり、人目や噂を気にしながら目に見えない敵と戦っています。
    心身ともに健康で穏やかに過ごしたいものです。
    年末年始もステイホームを心掛け、精神的なストレスを溜めないように、
    家族仲良く過しましょう。
    今年もありがとうございました。 
    よいお年をお迎えください。

Copyright (C) 中野マリア幼稚園 All righits reserved