園長月のお便り
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    保育サービスは誰のため?               園長  湯本 美奈子

     先日沖縄で梅雨明けが発表されました。この辺の梅雨明けも間近でしょうか。
    いよいよ本格的な夏がやって来ます。
    昨年までに、エアコンも全クラス省エネの新しいものに取り換えましたので、
    熱中症に注意しながら、夏ならではの活動を楽しみたいものです。
     さて、懸案の御聖堂老朽化に伴う増改築工事も、交付申請が通り順調に進めば
    9月から解体工事に入ります。60年間ずっと見守り続けていただいた御聖堂ですので、
    たくさんの思い出があり、何だかとても寂しい気持ちになります。
    クリスマス会も御聖堂を使っていたのですが、幼稚園棟新築の際に、
    舞台として利用していた祭壇の部分が削られて、今の形になりました。
    その後はずっと、御聖堂は静かに神様のお話しを聞く場所、神様とお話しする場所として
    子どもたちの大切な居場所となっていました。それは新しい御聖堂になる、これからもずっと変わりません。
    職員にとっても、朝礼の前や帰りに訪れ、一日の保育や子どもたちの無事を祈り、
    感謝し、自分と向き合う大切な場所でもあります。
    皆さんには時代や環境が変わっても、変わらずにあり続ける安心の居場所や、人はありますか?
     政府は『人づくり革命』と銘打って人材への投資とし、待機児童を解消し
    女性就業率80%に対応できる『子育て安心プラン』の一環として来年度10月から
    幼児教育無償化を発表しました。年少から年長まで保育料がタダになるというのです。
    子育て世代には願ったり叶ったりの法案です。けれどもまだ、詳細は何も知らされていません。
    今より少ない時間でも就労扱いになるとか、預かり保育料も無料になるとか、
    無認可の施設も対象になるとか…様々な憶測で取り沙汰されていますが、
    一番大切な子どもの精神的安定や、親との愛着は、いつどのように育てるのでしょうか?
    お金のこと以外はどこにも書いてありません。
    先日ある園長先生が「朝登園してきたらお母さんが、うちはお金がないので
    朝ご飯は食べさせてありません。宜しくお願いします」と言って子どもを置いて行かれた」
    と話されました。また他の園長先生は「夕方、お早うございますと言って
    子どもを預けて行くんです。夜のお仕事のために」とも話されました。
    お金がないのは悲惨です。教育や愛着以前の問題で、生きていくだけで精いっぱいになります。
    お母さんも疲れやストレスで体を壊してしまいます。
    子どもの為にも助けなければなりません。ただそのような家庭は今でも保育料は無料でしょう。
    所得に関係なく無償化になったら、儲かった!では済まされません。
    その時こそみんなで真剣に、そのお金を子どものための何に使おうか?
    延長保育が無料なら本当に園に出した方が得?なのかetc.をしっかり考え、
    子どもが安心して親子関係を築き、安定した生活を送るために親として
    どのように関わるのがbetterなのかを考えなければ、子どもの将来や未来の日本に希望はありません。
    何だか固い文章になってしまいましたが、マリア幼稚園の保護者様はきっと理解して下さるでしょう。
    どんなに居心地のいい園の環境でも、おうちに代わる居場所はありません。
    どんなに善い先生でも、お母さんの代わりはできません。
    目先のニンジンに振り回されないよう、遠くの、笑顔あふれる、
    生き生きとした大人になった我が子を目指して、一緒に頑張りましょう。

     子どもの笑顔が輝く季節です。良い夏休みの体験が親子でできますよう祈っています。

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