園長月のお便り
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    みまもる  
                         園長 玉井史恵
     私の娘はこのマリア幼稚園に通っていました。
    お昼寝が嫌いで、昼寝中におしゃべりしすぎては、
    「今日ね~先生に廊下でおしゃべりしてきなさいって言われたの~」
    (今はそういう指導はしません…ご心配なく)
    「また寝なかったの?」「そう~!」
    とケロリと言ってのけるほど、マイペース。
    そんなことがあっても幼稚園が大好きで
    一度も嫌だと泣いたことがありませんでした。
    小学校入学後も学校が嫌だと言うこともなく
    喜んで通っていました。
    そんな娘が小学校5年生の時に
    学校にいくのが辛くなりました。
    それは5年生の時、クラスの目標が
    ドッジボールでのクラス作りになったことから
    はじまりました。
    はじめのうちはまだ楽しいと思えていたようですが、
    学校外の大会にクラスとして出るようになり、
    勝つことが全てのクラス作りの中、
    「ドッジボールがうまくできない、
    朝も、休み時間も、昼休みも練習しないといけない、
    毎日ドッジボールばかりで学校が楽しくない。」
    そんなことを言い出しました。
    「ドッジボールなんてできなくたっていいじゃない、
    休み時間だって好きなことをすればいいじゃない」と言っても、
    練習にいかないと責められる…と。
    子どもの話だけではなんともわからないと思い、
    解決の道を探りましたが良い道はみつからず
    切ない日々が続きました。
    そして6年生になった時
    「そんなに嫌なら学校に行かなくてもいい」と娘に言いました。
    (今思えば私が楽になりたかったのかもしれません…)
    しかし返ってきた言葉は
    「そんなことをしたら、負けたことになるから学校には行く!」と。
    とても驚きました。
    相変わらずドッジボールでの毎日に疲弊しながらも、
    なんとか卒業の日を迎えることができました。
    卒業式の日、音楽の先生や保健の先生に
    がんばったねと声を掛けていただいた時、
    こうして影で支えてくださっている先生が
    いてくださったお陰で娘は学校に通うことができたのだと、
    感謝の気持ちでいっぱいになりました。
    今でも『あの時娘が学校に行かないと言っていたら、
    どうなっていたのだろうか』と思う時があります。
    親として言ってよい言葉だったのかどうかもわかりません。
    一番辛かった時神父様から
    「神様は乗り越えられない試練は与えない」
    という話をお聞きしました。
    「今は試練の意味がわからないかもしれないが、
    必ずわかる時が来る。神様は困難を取り除くのではなく、
    乗り越える力を与えてくださる。
    だから乗り越えられるようにと祈りなさい」と
    話してくださった言葉が
    私たち親子の心の支えになりました。
    そしてその時ほど神様の存在を近くに感じたことはありませんでした。
    今もその頃のことを思いだすと涙が出ます…。
    でも、その出来事があってから、
    私の考え方は大きく変化しました。
    今になれば、あの試練は娘のためではなく、
    私のためだったのだと思えてなりません。
    今はまだ毎日泣いて登園しているお子さんもいます。
    『なぜこんなに…』『いつまで…』と
    切ない気持ちで送りだされている方もいらっしゃると思います。
    親は子どもの力を信じて見守ることしかできない時もあります。
    見守ることの辛さもよくわかります。
    辛いときはどうぞ話にきてください。
    子どもたちはこれから先様々なことにぶつかっていくことでしょう。
    そんな時は困難を乗り越えられるよう
    神様に祈り求めながら、
    強い心と優しい眼差しで、
    子どもたちを見守っていきましょう。

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