2021.02.01
アンパンマンになりたい 園長 湯本美奈子
新しい年が明けたと思ったら、立春はすぐそこです。あと少しで今年度も終わり。
コロナで始まりコロナで終わる1年ですが、巣立っていく年長さんの未来に
豊かな祝福がありますよう、心からお祈りしています。
さて、先週卒園間近な年長さんと一緒にクラスで給食を食べました。
その前は未満児さんとも食べたのですが、姿勢も食べ方もきれいで
安心して見ていられましたし、食後のフッ素うがいなどは、誰に言われなくても
自分で時計の前に来て、秒針を見ながら1分間無言でブクブクしている姿に成長を感じ、
ちょっとウルッとしました。年長さんともなると色々な話ができるようになり、
熱く語るのは『鬼滅の刃』。最終回が終わったそうで、誰と誰が戦って、
誰が首を切られて誰が人間に戻って・・・など一度には覚えられない名前がポンポン出てきて、
イマイチ内容が理解できませんでしたが、やはり炭次郎はみんなのヒーローでした。
そのうちに『進撃の巨人』だの『エヴァンゲリオン』だの…男の子たちは、
やはり戦いや正義やヒーローが好きなのですね。
昔、ウルトラマンほど悪いヒーローはいない!という話を聞きました。
相手と何の話し合いも持たずに3分もの間戦って、相手を倒し、都市を全滅させ、
何事もなかったかのように飛び去ってしまう。あの町が復興するまで
どれだけの歳月がかかることかと。(笑)
ヒーローには戦いがつきものですが、小さな子どもが、いくら鬼でも
「首を切ると血がドバ~ッと出て、殺さないと死なない!」などという言葉を使って、
普通に会話するような状況は憂慮したいものです。
漫画の話と思われるでしょうが、「死ね」とか「殺してやる」という
ことばの重みがわからず、ちょっとしたいざこざで突然発した言葉に、
怖がったり傷ついた子もいます。その時々にきちんと大人が正すことも必要でしょう。
ただ、何でも願いを叶えてくれる魔法のランプやスーパーヒーローは
夢のような空想の話ですが、これから現実世界で生きていく子どもたちには、
いつもすぐそばにいて味方になってくれるヒーローは、絶対に必要です。
私が大好きなBTSの歌に『Anpanmanアンパンマン』という曲があります。
《力こぶや筋肉なんてないよ。スーパーヒーローじゃないから怖いし、
膝をすりむいたり泥だらけにもなるけど、君が呼んだらすぐに飛んでいくよ、
君の力になってあげるよ。又つまずくと思うけど、失敗するだろうけど
本当の正義って決してカッコいいもんじゃないし、そのためには自分も傷つくものなんだよ。
僕が分けてあげられるのはアンパンとお疲れさまという言葉だけ。
だけど僕はいつも君のそばにいるよ》・・・なんていうような内容です。
いよいよ日本のアンパンマンも世界に羽ばたいたか‼ と、
ちょっと興奮して聞いていたのですが、考えてみれば、
アンパンは誰でも一つは持っている、とても大切な武器だと思いました。
BTSは『歌』で、ある人は『微笑み』で、『ハグ』で、『ことば』で、
『共感』で、あるいは『ただ傍にいるだけ』でその人の力になったり、元気になったり
ホッとさせたり、勇気を持たせたりするのです。そしてその武器は不滅で危害を加えません。
その人ならではの恵です。皆さんはどんなアンパンを持っていますか?
出し惜しみせず呼んでいる人がいたらすぐに飛んで行って、何度でも渡しましょう。
そして子どもたちには、沢山のアンパンを持った、本物のアンパンマンに育ってほしいです。
マリア幼稚園も幼稚園から幼保連携型認定こども園へと、
形態は変わろうとも神様の愛に包まれ、先生方の愛情と保護者の皆様の
ご理解と支援の下55年間続いてきました。これからもどんなことがあっても、
この幼稚園が皆さんのジャムおじさんのアンパン工場でいられるよう努力します。
様々あった1年ですが、これからもどうぞよろしくお願い致します。