2020.02.06
『がんばれ、お母さん!!』 園長 湯本 美奈子
新年を迎えたと思ったらあっという間に1月も終わろうとしています。
昨年は台風被害で大変な年でしたが、今年の暖冬も異常です。
昨日家の庭にたんぽぽが咲いていました。
ニュースではコロナウィルスによる死者が80人を越したと報じています。
本当に不安な年明けですが、どうか平穏で、子どもたちが事故や怪我なく、
すくすくと成長することができますように。
それが一番の願いです。卒園まであとわずかですが、日々感謝しながら今年も過ごして参りましょう。
さて、今年卒園する年長さんの2名は認定こども園になって初めての0歳児で、
6年間保育を受けたことになります。2歳児は以前から受け入れていましたので
話が通じましたが(笑)0歳児は本当に赤ちゃんでした。
乳幼児期の殆どを幼稚園で過ごしたといっても過言ではありません。
小さいながらに、他人の飯を食う(笑)生活は寂しいことも沢山あったことでしょう。
それでも先生方は、そんな気持ちを真綿で包むように察して、きめ細かく大勢の目で
見ながら関わって下さいました。その子がもう1年生になるんだ・・・と思うと、
本当に感慨深いものがあります。
私も3人の子育てをしながら仕事を続けましたが、それは夫の母に見てもらっていたからできたことで、
本当に有難いことだったと改めて思います。東京では待機児童が1万人近くいて
劣悪な環境の無認可託児所に預けざるを得ない人も沢山います。
だからと言って環境もよく、祖父母や幼稚園に良く接してもらっていれば
子どもは安定するかと言えばそんなことはありません。
手作りおやつじゃなくても、関わる時間が短くても、やっぱり“お母さん”が大切です。
当たり前です。そうでなければ困ります。
私の長女は保育園でも小学校でも新しい環境に慣れるまで時間がかかりました。
行きたくない!と泣く我が子。私はというと幼稚園も新学期を迎えたばかりで、
てんやわんやの時期。私のそんなバタバタした思いを察知したのでしょう。
下の妹弟も不安定になってきます。仕事を持っていれば関わる時間が短くなるのは当然です。
「待ってて。」「早く!」が口癖に・・・。 昔(?)ですから夫は全く子育てにNOタッチ(泣)
それである晩、「ごめんね、お母さんお仕事忙しくて・・・だから幼稚園辞めようと思うんだよ。
そうすればずっとみんなと一緒にいられるしね。」と、子どもたちの前で泣きながら話しました。
「そうだよ、そうしてよ!」と言われると思っていたのに子どもたちは
「でも、幼稚園でお友だちが待っているんでしょ?」
「辞めたらもう人形劇とか観に連れてってもらえないんでしょ?(物か~い!)」
あげくには「お母さん、頑張って働いてればきっと又いいことあるから!」となだめられる始末。
親が真剣に話せば子どもも真剣に考えてくれるんだなぁと感激してまた泣きました。
その二女が中学生の時に『がんばれ、お母さん』という作文を書いてくれ、賞をいただきました。
表彰式に保護者同伴で行ったとき、先生が「お母さん、これは最高のプレゼントですね」
と言って下さったことを覚えています。今でも大切にとってありますが、最後に
『自分の生き方に誇りを持っているお母さんはすごいと思うし、私もそういう生き方をしていきたいです。
お母さん位の歳になった時、後悔しない生き方をしたいです。私はいつもお母さんを応援しています。
これからも頑張ってください。』と書いてありました。
最初の方はつらつらと寂しかったことや不満が書いてありましたが、徐々に理解し、
共感してくれるような文章に変わっていきました。読み返すたびに涙が出ます。
あの時もっとこうすればよかった・・・と思うことが沢山あります。こんな親なのに・・・です。
でもきっと立派なお母さんなんていません。正解もありません。
それぞれの親子がしっかり話し合ったり、向き合ってさえいれば、
必ずいつかお母さんの思いに寄り添ってくれ、そこから親を乗り越えて立派に育っていきます。
だから、いつも忙しいお母さん。失敗しながら、謝りながら、抱きしめながら、
いつか巣立つ我が子のために、がんばれ、お母さん!!