園長月のお便り
  • 桜と土手
    きずな           
                     園長 玉井史恵
     
    3月、卒園間近の子どもたちが「私は○○小学校」
    「ぼくは○○小学校」「私も同じ、一緒だね!」
    と楽しそうに話していましたが、
    一人の女の子が「私はお引越しをするから、
    みんなと同じ学校に行かれない…」と寂しそうに言いました。
    すると男の子が「いつもマリア様が一緒だから大丈夫だよ」と言い、
    それを聞いた女の子は「そうだね」とにっこり。
    なんて素敵な会話でしょう。
    わたしたちが、毎日を充実させて
    いつくしみにあふれた日々を生きるには
    「自分自身との絆」
    「他の人との絆」
    「人間を超える存在との絆」
    が必要だと言われたことがありますが、
    この子どもたちの中にはすでに
    この3つの絆ができていることを感じました。
     さて今年は45名の新入園児さんを迎えて
    新年度をスタートすることができました。
    新しいクラスのお友だちとの出会い、
    新しい先生との出会い、
    はじめて幼稚園に入ったこどもたちは神様との出会い、
    それぞれの出会いがまた新しい絆につながっていきます。
     しかしすぐに新しい環境に慣れるお子さんもいれば、
    環境の変化をすぐには受入れられないお子さんもいます。
    適応していく時間は一人ひとり違います。
     親とすれば早く慣れてくれた方が安心ですが、
    そうそう思い通りにならないのが、現実です。
     以前、未満児から年少に進級した一人の子どもは、
    毎日毎日大泣きで、何もしようとしませんでした。
    担任はどうしたら泣かずにいてくれるのか必死でした。
    いろいろ手を尽くし、言葉を尽くしましたがうまくいきません。
    担任以外の先生が一緒に過ごせば落ち着きますが、
    担任の所に戻るとまた大泣き…
    でも担任がその子の泣きたい気持ちを受け入れ、
    泣いても大丈夫だと双方が思った時、
    その子は泣かなくなり以前のように
    何でも一人でやるようになりました。
    その子は他の誰とでもなく、
    担任と絆を結びたかったのだと思います。
    このように、子どもたちも新しい人たちと
    心を通わすために必死なのです。
    そして、そんな子どもたちの姿から 
    絆は子どもたちの心を強いものにし、
    すべての原動力につながっていることを実感させられます。
     ですから、あせらず、人と比べず、
    一人ひとりの成長の時間をじっくり待ちましょう。
    そして1年を終えた時
    また素晴らしい絆でむすばれたことが実感できますように。
     今年度もよろしくお願いいたします。

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