園長月のお便り
  • Tulips
    三つの“しあわせ”                    園長  湯本 美奈子

     入園からひと月が経とうとしています。
    せっかく慣れてきた子ども達ですが、ここで10連休にもなるお休みに入ります。
    ご家庭でお休み中も幼稚園のことを話題にしていただき、
    休み明けも元気に登園してくれることを願っています。
    さて、毎年カトリック教会では5月を『聖母月』として、
    私たちの母であるマリア様に倣い、思慕の念と神様への取り次ぎを願いながら
    祈りを推奨する月としています。自分が親になって初めて、
    母の偉大さと有難さがわかるものです。  
    お母さんが自分の母でよかった、幸せだったと思うでしょう。

     幸せには三つあるといいます。
    “してもらう幸せ”“できる幸せ”“してあげられる幸せ”です。
    オギャーと生れたその日から、自分では何もできずに
    全て“してもらって”いました。結構してもらう時期は長いのですが、
    意識もせず当たり前に過ごしていました。それから少しずつ自分でできるようになり、
    その嬉しさや達成感はあっても、あまり感謝した覚えもありません。
    “してあげられる幸せ”…に関しては子育て(夫育ても)も仕事も、
    ‟やってあげてる”的な捉えが多く、下手をすると感謝どころか『ため息』
    『不平不満』『被害妄想』『ストレス』の文字ばかり浮かんでくる時期が
    ず~っと続いた気がします。なんて未熟な人間なんでしょう(泣)。
    若い頃はできて当たり前でしたし、仕事が山積みでも頑張ってこなし、
    子育てで日々動き回って疲れても、夜寝て起きれば又元気になっていました。
    毎日ボ~ッとしている暇なんてありませんでした。
    時間も健康も家族も当たり前のようにありました。
    ところが「どっこいしょ!」という言葉がちょいちょい出る、腰が痛い、
    肩が痛い、朝起きるのが辛い・・・歳を取ったせいか無理が利かなくなってきました。
    すると、できることが無性に嬉しく、してあげることがあることや、
    頼りにされることも無性に嬉しく、有難く感じられるようになるのです。

     若い皆さんはしてもらった幸せを心で、ことばで感謝していますか?
    自分でできることがあることに感謝していますか?
    そして、してあげられる人や仕事がある人は、今沢山感謝しましょう。
    私たちはちょっとしたことで、普通の生活や精神状態でいられなくなるような
    小さな存在なのです。だからこそ失くした時に気付くのではなく、
    少し立ち止まって意識して「ありがとう、全ての事に」と口に出して言ってみましょう。
    歳を取ってからではなく、今からできる人は幸いです。
     子どもたちはまだまだ“してもらう幸せ”の対象ですが、
    両親は私たちにとって三つの幸せをずっと支えてくれた、
    大切でかけがえのない存在、感謝と幸せの塊です。
    5、6月は母の日、父の日がありますが、我が子と自分、自分と両親の
      “三つの幸せ”について考える日にしてみてはいかがでしょう。

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