2021.03.01
いったり きたり
園長 玉井 史恵
園長就任から1年、先日ある保護者の方が
「1年経ちますね、入園式の日の先生は普段の様子と随分ちがっていて、
緊張しているんだな~と思いました」と笑いながら話してくださいました。
今でも皆さんの前に立つ時は緊張しています。
小心者で大勢の前は得意ではないのです…。
それならなぜ先生になったのかということですが…(笑)
そんな私がなんとか1年過ごしてこられたのは保護者の皆様が
温かく見守り支えて下さったお陰です。
それに加えマリア幼稚園の教職員のチームワークの良さが
あった(手前味噌ですいません)お陰です。
皆様1年間本当にありがとうございました。
私は4月から毎朝「おはよう」と声をかけながら廊下を回っていました。
ひと所に長居をすると朝の用意や着替えの邪魔をすることに
なってしまうので、気をつけてはいるのですが
ついつい時間を忘れ、職員室から、
「ほらまた帰って来ない」と防犯カメラで居場所を探され
「園長先生戻ってきてくださ~い」と放送がかかることもしばしば…。
そんな毎日のひと時は何よりも楽しい時間で、
幼稚園にいるな~と実感させてもらえる時間でした。
声をかけても下を向いていた年少さんが
笑顔で抱きついてきてくれるようになった日、
朝の着替えが嫌で廊下を走り回っていた年少さんが
得意げに一人でやったよと見せてくれた日、
2階に一人で上がれず「園長先生一緒に行って~」
と泣いていた年中さんが「お友だちと一緒に行くからもういいよ!」
と私と繋いでいた手を離した日、
一人では話せなかった年長さんが、元気のよいお友だちにつられて
お尻をたたきに来たり、くすぐりに来たり、
じゃれついてくるようになった日、
朝のひと時の中にも一人ひとりの成長がありました。
そんな子どもたちの成長の一番の支えになっていたものは、
安心感だと思います。
幼稚園に行ってお母さんやお父さんと離れていても大丈夫という安心感。
この先生だったら私のことを受け入れてくれるという安心感。
一緒にいてくれるお友だち、一緒に遊べるお友だちがいる安心感。
このような安定した気持ちの中で子どもたちは
安心して自分を出していくことができます。
そして大人との関わりに満足した子どもは、
必ず自分から手を離して歩き出します。
しかし子どもの成長は一直線ではありません。
調子がいいかと思えば立ち止まり、
止まっているな~と思えば急に上昇し、
そうかと思えば急降下だってあります。
魔の2才児と思春期の間にだって反抗期は訪れます。
そうやって 『いったり きたり』しながらも
子どもたちは確実に成長していきます。
その間、環境も変わりますし、周囲の人も変化していきます。
変わらず関わっていくのは家族だけです。
ですから『何があってもしっかり受けとめてくれる家族がいてくれる』
という安心感がどれほど大切なことでしょう。
1年生になるお子さんだけでなく、
皆1年間慣れ親しんだ環境から、新しい環境へ変わる4月がやってきます。
子どもの心の『いったり きたり』が増える時。
いったりきたりも大切な成長過程と思い、
慌てず、いら立たず、
大きく手を広げて一緒に受けとめて参りましょう。
ご心配なことがありましたらいつでもお声がけください。