園長月のお便り
  • 福寿草 
    いったり きたり
                       園長 玉井 史恵
     園長就任から1年、
    先日ある保護者の方が
    「1年経ちますね、
    入園式の日の先生は普段の様子と随分ちがっていて、
    緊張しているんだな~と思いました」と
    笑いながら話してくださいました。
    今でも皆さんの前に立つ時は緊張しています。
    小心者で大勢の前は得意ではないのです…。
    それならなぜ先生になったのかということですが…(笑)
    そんな私がなんとか1年過ごしてこられたのは
    保護者の皆様が温かく見守り支えて下さったお陰です。
    それに加えマリア幼稚園の教職員の
    チームワークの良さがあった
    (手前味噌ですいません)お陰です。
    皆様1年間本当にありがとうございました。
     私は4月から毎朝「おはよう」と
    声をかけながら廊下を回っていました。
    ひと所に長居をすると朝の用意や着替えの
    邪魔をすることになってしまうので、
    気をつけてはいるのですがついつい時間を忘れ、
    職員室から「ほらまた帰って来ない」と
    防犯カメラで居場所を探され
    「園長先生戻ってきてくださ~い」と
    放送がかかることもしばしば…。
    そんな毎日のひと時は何よりも楽しい時間で、
    幼稚園にいるな~と実感させてもらえる時間でした。
    声をかけても下を向いていた年少さんが
    笑顔で抱きついてきてくれるようになった日、
    朝の着替えが嫌で廊下を走り回っていた年少さんが
    得意げに一人でやったよと見せてくれた日、
    2階に一人で上がれず「園長先生一緒に行って~」と
    泣いていた年中さんが
    「お友だちと一緒に行くからもういいよ!」と
    私と繋いでいた手を離した日、
    一人では話せなかった年長さんが、
    元気のよいお友だちにつられて
    お尻をたたきに来たり、くすぐりに来たり、
    じゃれついてくるようになった日、
    朝のひと時の中にも一人ひとりの成長がありました。
    そんな子どもたちの成長の一番の支えになっていたものは、
    安心感だと思います。
    幼稚園に行ってお母さんやお父さんと
    離れていても大丈夫という安心感。
    この先生だったら私のことを
    受け入れてくれるという安心感。
    一緒にいてくれるお友だち、
    一緒に遊べるお友だちがいる安心感。
    このような安定した気持ちの中で
    子どもたちは安心して自分を出していくことができます。
    そして大人との関わりに満足した子どもは、
    必ず自分から手を離して歩き出します。
     しかし子どもの成長は一直線ではありません。
    調子がいいかと思えば立ち止まり、
    止まっているな~と思えば急に上昇し、
    そうかと思えば急降下だってあります。
    魔の2才児と思春期の間にだって反抗期は訪れます。
    そうやって 『いったり きたり』
    しながらも子どもたちは確実に成長していきます。
    その間、環境も変わりますし、周囲の人も変化していきます。
    変わらず関わっていくのは家族だけです。
    ですから
    『何があってもしっかり受けとめてくれる家族がいてくれる』
    という安心感がどれほど大切なことでしょう。
     1年生になるお子さんだけでなく、
    皆1年間慣れ親しんだ環境から、
    新しい環境へ変わる4月がやってきます。
    子どもの心の『いったり きたり』が増える時。
    いったりきたりも大切な成長過程と思い、
    慌てず、いら立たず、
    大きく手を広げて一緒に受けとめて参りましょう。
    ご心配なことがありましたらいつでもお声がけください。

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