2018.06.01
20年後の我が子のために 園長 湯本 美奈子
雨上がりの青空に山々の緑が鮮やかに映え、初夏のすがすがしい日々が続きます。
先日の親子遠足は熱中症を心配するほどの暑さではありましたが、電車やバスを使い、
頑張って3キロもの遠足を踏破した子どもたちに、エールを送りたいと思います。
お忙しい中、参加して下さった保護者の皆様、ありがとうございました。
そしてお疲れ様でした。
5月は聖母月について触れましたが、カトリック教会では67月を『聖心(みこころ)の月』
としてイエス様のみ心にならい、父である神様に心を向ける月として奨励しています。
梅雨の時期の雨も、日々強くなる日差しも、全てに意味があり、
神様の恵みによって生き生きと成長する動植物のさまを、親子で共感し楽しんでいきましょう。
さて、私が子育てをしていた20年以上前からすると、驚くほど急速に携帯やパソコン、
ゲームなどが普及し、子どもの経験する世界が非現実的でバーチャルな世界に変化してきました。
先日新入園の3歳児さんがあまりに大泣きしているので由香里先生が様子を見に行くと、
お母さんに会いたいのでもなく、家に帰りたいのでもなく「ユーチューブが見たい~!」
と言って泣いているとのこと。それは仕方がないので「はい、YouTubeは見ません!」
と言ってそのまま戻って来ました。忙しい時やぐずる時、ついつい利便性や即効性に富んだ
YouTubeや携帯アプリに頼りがちですが、20年先の子どもの姿を思い浮かべながら、
依存しないよう気を付けましょう。
6月から年中・長のお昼寝が始まる前、今年も放送での絵本の読み聞かせを始めます。
絵本やビデオなどと違って耳からだけのお話ですが、絵がない分想像して聞くことができます。
終わった後「今日のお話はこれでおしまいです。おやすみなさい。」と言うと
「おやすみなさい!」の返事が教室から聞こえてきます。
「昨日は園長先生のお話なかったね…」と残念がる子どももいて嬉しい限りですが、
放送ではなくお母さんのひざで読んでもらう『絵本のひと時』は子どもたちにとって、
どんなにか珠玉の時間でしょう。私は子どもに『お母さんに絵本を読んでもらった思い出』
を作ってあげたくて読み聞かせましたが、今となれば子どもより、
『私が子どもと過ごした宝物のひととき』になっています。
長女は『かいじゅうたちのいるところ』が大好きで、3歳頃には一冊丸暗記してしまいました。
それなのに「読んで」と毎回せがまれました。二女は『いもうとのにゅういん』や
『さっちゃんのまほうの手』などの心に訴えるような絵本をいつも持ってきました。
長男は『ろくべぇまってろよ』とか『じごくのそうべい』などの他、長新太さんの
『へんてこライオン』シリーズが好きでした。どんな絵本でもいいのです。
子どもと一緒に過ごす時間が大切です。
そして絵本を見る度にその頃の思い出がよみがえってくるような、
そんな素敵な宝物の一冊に出会えるといいですね。
即効性はありませんが『読み聞かせ』は肉声で肌と肌を触れ合わせ、抱きしめ、
感動を共有できる最も有効なツールです。
絵本を読んでとせがまれる時期はほんのちょっとです。
だからこそ20年後の為の、宝物の時間なのです。