園長月のお便り
  • コスモス2

    転ばぬ先の杖         園長 玉井 史恵
     私の娘は、このマリア幼稚園に通っていました。
    (その頃私は仕事を一度退職し、主婦をしていました) 
    年少の運動会の時、それは それは 嬉しそうにリズムを
    踊っていた娘でしたが、玉入れときたら、
    一人玉入れのかごに背を向け、しゃがんだまま後ろに玉を
    投げていました(笑)一人っ子ということもあってか、
    とにかくマイペース。慌てるとか、人と競うとか
    そういう気持ちは全くというほど持ち合わせていなかった娘です。 
    親としてはこんな娘で大丈夫かと心配で
    「早く早く」を繰り返し、間に合わない時は手を出していましたが、
    本人は全く困った様子もなく毎日楽しそうに幼稚園時代を過ごしました。
    そんな娘が小学校にあがってじきに
    「今日ね~トイレから戻ってきたら、教室に誰もいなくて、
    泣いてたら知らない先生が畑に連れていってくれたの…」
    という出来事が起こりました。のんびりしていると
    置いていかれるという経験をした娘。
    またある日先生から「バスに乗り遅れたので迎えにきてください」
    と電話が…(冬だけ低学年はバスがありました)
    乗り遅れた理由は教室で手袋をさがしていたのだと…。
    また別の日、ランドセルのふたをきちんと閉じなかった娘、
    下校中、友達とふざけながら歩いていて、
    下を向いた途端ランドセルの中身が川の中へ…。
    友だちに手伝ってもらいながら、
    びしょ濡れの教科書を拾って帰ってきました。
    こんな小さな失敗や困った、を繰り返しながら
    娘は少しずつ変わっていきました。
    そして親の私も娘の姿を見ながら、
    いくら親が何か言っても、本人が本当に困り、
    こうしようと思わない限り変わることはないと実感しました。
    (それでも低学年の困った、はかわいいもの。
    この後最大の困ったに出会いますが、その話はまたそのうちに…。)
    親としてはついつい、子どもが困らないように
    先回りして手を出したり、声をかけたりしたくなります。
    その方が親は楽ですし、心配もいらないからです。
    でもそれはその場限りでしかないことを実感した私は、
    命にかかわらないことに対しては、すぐに口出しをしない、
    じれったくても待つということを意識してきました。
    とは言うものの、時間があって子どもの姿が目に入れば
    ついつい口を出したくなりますし、仕事を始めて時間がなくなると、
    今度は待っていられず口やかましくなってしまう、
    なかなか難しいものでしたが…。
     さて、幼稚園の生活の中でも、子どもたちにとって
    小さな困った は起こります。
    お箸を忘れた子どもが、職員室に「お箸貸してください」
    と借りに来ます。1回目は泣きながら借りにきた子どもも、
    3回目くらいになると堂々と(笑)借りにきます。
    忘れても借りれば大丈夫という経験があるからです。
    これは箸だけの話で終わらず、忘れ物をしたときは
    何か違う方法で対処すればいい。という考え方に
    つながっていくはずです。
    忘れ物をしたことのない子どもより、
    したことのある子どもの方が、実はよい経験を
    しているように思います。
    こう考えると、たまには忘れ物の経験もいいものです。
    忘れ物に限らず、小さな 『困った』にぶつかり、
    困ったことを解決する度に 『こういう時はこうすればいいんだ』
    『困ったことがあっても大丈夫』と子どもたちは学んでいきます。
    その積み重ねが、この先『大きな困った』に出会った時、
    必ず乗り越える力になるはずです。
    クラス替えなど環境の変化にも慣れて落ち着いてきた2学期、
    大人の私たちが先回りして、手や口を出すことで、
    子どもの学ぶチャンス、成長するチャンスを奪ってしまわないよう、
    意識して過ごしてみませんか。 
    『転ばぬ先の杖』 ということわざがありますが、
    ~ 転ばぬ先の杖 出さないことも 親の愛かな ~ 
    と思います。

  • IMG_1638
    地球に優しく       園長 玉井 史恵
     
    コロナ禍になり家で過ごす時間が増えてから、
    断捨離をはじめました。痩せたら着よう、
    また流行が回り戻ってくるかもしれない、
    捨てるにはもったいないと思い、
    しまい込んであった服の多いこと。
    さてこれらの服をどうしましょう…。
    思い切って捨てるしかない。と思っていた時に、
    ファッション業界の水使用量についての番組を見ました。
    コットンのTシャツを1枚作るために必要な水は 
    2,720ℓ (1人分の飲み水3年分だそうです)
    ジーンズ1本を生産するためには最大で 
    10,850ℓ (1人分の飲み水11年分相当) 
    もの水が必要だと言っていました。
    最も水を消費する過程はジーンズの染料を洗い流す
    行程と仕上げだそうです。そして 
    『私たちが洋服を捨てる時には、それらの水も捨てている』
    ということに目を向けなければならない。
    と報道されていました。
    今まで全く考えもしなかったことでした。
    今私たちが着ている服のほとんどは輸入品です。
    安い賃金で縫製してくれる発展途上と言われる国で作られています。
    湖の水を大量に工場で使った為に湖が枯渇してしまったり、
    工場から出る化学物質で池や川が汚染されたりもしているそうです。
    『私たちは自国の水ではなく、
    他国の貴重な水をもらって、洋服を着ている』
    ということをきちんと知っていなければ、と思いました。
     話は戻りますが、番組を見た後
    『今私にできることをしなくては』と思い直し、
    捨てようと思った服をもう一度取り出しました。
    そして好きな生地の服は前々から作りたかった
    ベットカバーの材料用に残し
    (いつになったら取り掛かれることやら…)
    古着屋に持っていくもの、掃除用に使うもの、
    などに分けたところ、随分ごみ袋が減りました。
    (ゴミを焼却する時に出る、
    二酸化炭素削減にほんの少し協力できたでしょうか…)
     バーゲンセールが始まると、ついつい
    「安い時に買わないと損をする」と思ってしまうこと。
    あまり好みでないのに「きっと着ることもある」
    と割引率だけで買った服にきっとは来なかったこと。
    どこにも行かれないストレスで、スマホのボタンを
    ポチっと押してしまった、ネット購入の服が
    この1年間で増えたこと。反省することばかりの断捨離でした。
     また、自分の周りを見渡せば、洋服だけでなく、
    安くなっているからと買った食品(気が付けば賞味期限切れに)、
    新製品につられて買った日用雑貨
    (同じ用途のものがいくつもありました)
    なくてもよいものが沢山。
    もっと考えて買い物をしなくては、とこれまた反省。
    子どもたちはこの夏、水の使い方について考えていきます。
    私は目の前の水を大切にするだけでなく
    『よく考えて買い物をしよう』と思います。
    ~物を大切にするということは、
    その物に関わる国の人たちの生活をも大切にすること~  
    だと思うと、『よしやろう』という気持ちが湧いてきます。
    大きなことはできませんし、決意は容易く崩れる
    と思いますが、何もやらないよりは、
    できる時にやった方がいいにきまっていますから、
    『頑張ろう!』と『反省…』を繰り返しながら
    やっていこうと思います。 
    皆さんも子どもたちと一緒に、
    ちょっと立ち止まって水について考えてみませんか?
    小さな積み重ねが地球のためになること、
    遠くの誰かのためになることを信じて…。

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    両手を広げて                             園長 玉井 史恵
     新緑が芽吹き、さわやかな5月を、カトリック教会では「聖母月」(マリア様の月)として
    います。また日本をはじめ世界でも5月の第2日曜日を母の日と定めている国が多くあるそうです。
    さて、皆さんはマリア様といったらどんなイメージがありますか?両手を広げて、微笑む姿でしょうか?
    イエス様を抱いている姿でしょうか?手を合わせて静かにたたずむ姿でしょうか?私は幼稚園の御聖堂の
    後ろにある両手を広げたマリア様の姿が大好きです。このマリア様に向かった時、『頑張った私も、
    情ない私も、嫌な私も、いつも同じように両手を広げて受け入れてくださっている。』と感じることが
    できるからです。子どもたちもマリア様が大好きです。それはマリア様に自分のお母さんと同じ、理屈
    ではない愛を感じているからではないでしょうか。
     今、まだまだ緊張と不安の中にいる年少さんは、迎えにきてくださったお母さんの姿を見ると緊張の
    糸が切れるのでしょう、泣き出したり、「抱っこ!抱っこ!」とせがんだりしています。先日、迎えに
    みえたお母さんは妹さんを抱っこしていましたが、抱っこをせがむ年少の我が子を見て「1日頑張ったものね」
    と、両手に2人のお子さんを抱いて笑顔で帰って行かれました。母は凄い!嬉しそうな母子の笑顔から
    見送る私が幸せな気持ちをもらいました。
     ちょうど同じ日、高校3年生になった卒園児が、私が園長になったことを知り、お母さんと一緒に幼稚園に
    来てくれました。来る道すがら「先生、まだぼくのこと抱っこできるかなぁ~」と言っていたそうで、話を
    していると、幼稚園の頃いつも抱っこしてもらっていたことを、10年以上たった今も覚えてくれていると
    言うのです。なんと嬉しいことでしょう。
     また、私が年少の担任をしていた時、自分の息子がどうも苦手で、どうやって関わったらよいのかわからな
    かった。というお母さんが、「息子が先生の腕の中にとても嬉しそうに飛び込んでいく姿を見て。こうすれば
    いいんだと思いました。これなら私にもできそうです」と話してくださったことがありました。
    両手を広げた中に子どもたちが飛び込んできてくれる瞬間は、私にとって、とても嬉しい瞬間です。
    お互いに ぎゅ~っと抱きしめあう時、私の中になんとも言えない穏やかで、温かな気持ちが生まれます。この
    年になっても、大勢の子どもたちから沢山の幸せを与えてもらっていることに感謝しながら、これからも
    たくさんの ぎゅ~ をしていきたいと思います。
     皆さんはお子さんを抱きしめていますか?
    褒めたた後も、叱った後も、お子さんが泣いている時も、どんな時もマリア様のように両手を広げてお子さんを
    迎えてあげてください。そして 『どんなあなたも大好きよ』 の気持ちを込めて何度でも ぎゅ~っと抱きしめて
    あげてください。抱きしめるのに、理由はいりません。時間もかかりません。
    ちなみに私は、入園式が始まる直前、前園長先生に「大丈夫!頑張って!」ぎゅ~っと抱きしめてもらいました。
    ぎゅ~ は心の 栄養です!

  • 空と桃

    神さまに招かれた私たち             園長 玉井史恵

     長年マリア幼稚園のために尽くしてこられた、湯本美奈子園長先生が
    ご退任され、今年度より、園長を務めさせていただくことになりました。
    どうぞよろしくお願いいたします。
    マリア幼稚園は今年創立55周年を迎えます。初めの1年は須坂マリア
    幼稚園の分園として過ごし、昭和41年に認可を受け分園ではなく、中野
    マリア幼稚園としての第一歩を歩きだしました。奇しくも私が生まれた年
    です。年齢がわかりますね…。
    初代から5人の神父様が園長を務められ、その後湯本園長先生が6代目、
    私は7代目となります。今これまでの歴史を引き継ぐ責任の重さを感じ
    ています。
    湯本園長先生は本当にオールマイティーな方でしたので、どこへ
    行っても 「立派すぎる園長先生の後は大変だと思いますが…」 と言わ
    れています。そのことは私が誰よりも自覚しています(笑)なにしろ
    私は、一度に沢山のことを行うのが苦手、次々と仕事をこなすよりも、
    ひとつの事をじっくり考える方が性に合っています。小さいころから
    この性格は変わっていません。この仕事に就いた時は 『他の先生方の
    ようにテキパキと仕事をこなせるようになりたい』 といつも思って
    いましたが、人はそんなに簡単に変われるものではありませんでしたし、
    人を羨んでも出来ないことは出来ません。そのような私を、湯本園長先生
    はいつもできなかったことを指摘するのではなく、できたことを認めてく
    ださいました。まさに愛情を注いで育ててくださったのです、そのおかげで、
    私は人を羨むのではく、「自分にできることを自分なりに一生懸命やろう。」
    と思うことができ、今日までこの仕事を続けることができました。また、
    湯本園長先生はいつもこうおっしゃっていました。「私たちは自分で選ん
    でここにいるのではありません。神様の導きでここにいるのです。あなたが
    ここに必要だから、招かれたのです。」と…。立派なことはできませんが、
    この言葉を信じて園長の責任を負う覚悟をきめました。
    これはマリア幼稚園に通ってくださるすべての子どもたち、保護者の
    皆様も同じだと思います。新年度が始まり「あ~あ…隣の組がよかった」
    「○○ちゃんと一緒がよかった」などと思うこともあるかもしれません。
    でもこれは神様が招いてくださった、一人ひとりに必要な出会いなのです。
     又、集団生活の中で「どうして家の子は○○なんだろう」「もっと活発
    だったらいいのに」「○○ちゃんみたいだったらいいのに‥」などと思う
    ことがあるかもしれません。でも、私の子どもとしてこの子を神様が
    招いてくださったのです。あなたなら大丈夫と…。ですから、神様の
    招きを喜んで受け入れ、共に子どもたちを育ててまいりましょう。
    一人で出来ないことは誰かに助けてもらいながら。そして湯本園長先生
    が私にしてくださったように、子どもも、大人も、互いに良い所を認め
    合い愛情を持って育ちあえる、温かな幼稚園をめざして力を尽くして
    まいりたいと思っております。皆様どうそよろしくお願いいたします。

  • フクジュソウ2 紅梅

    アンパンマンになりたい               園長 湯本美奈子
     新しい年が明けたと思ったら、立春はすぐそこです。あと少しで今年度も終わり。
    コロナで始まりコロナで終わる1年ですが、巣立っていく年長さんの未来に
    豊かな祝福がありますよう、心からお祈りしています。

     さて、先週卒園間近な年長さんと一緒にクラスで給食を食べました。
    その前は未満児さんとも食べたのですが、姿勢も食べ方もきれいで
    安心して見ていられましたし、食後のフッ素うがいなどは、誰に言われなくても
    自分で時計の前に来て、秒針を見ながら1分間無言でブクブクしている姿に成長を感じ、
    ちょっとウルッとしました。年長さんともなると色々な話ができるようになり、
    熱く語るのは『鬼滅の刃』。最終回が終わったそうで、誰と誰が戦って、
    誰が首を切られて誰が人間に戻って・・・など一度には覚えられない名前がポンポン出てきて、
    イマイチ内容が理解できませんでしたが、やはり炭次郎はみんなのヒーローでした。
    そのうちに『進撃の巨人』だの『エヴァンゲリオン』だの…男の子たちは、
    やはり戦いや正義やヒーローが好きなのですね。
    昔、ウルトラマンほど悪いヒーローはいない!という話を聞きました。
    相手と何の話し合いも持たずに3分もの間戦って、相手を倒し、都市を全滅させ、
    何事もなかったかのように飛び去ってしまう。あの町が復興するまで
    どれだけの歳月がかかることかと。(笑)
    ヒーローには戦いがつきものですが、小さな子どもが、いくら鬼でも
    「首を切ると血がドバ~ッと出て、殺さないと死なない!」などという言葉を使って、
    普通に会話するような状況は憂慮したいものです。
    漫画の話と思われるでしょうが、「死ね」とか「殺してやる」という
    ことばの重みがわからず、ちょっとしたいざこざで突然発した言葉に、
    怖がったり傷ついた子もいます。その時々にきちんと大人が正すことも必要でしょう。
     ただ、何でも願いを叶えてくれる魔法のランプやスーパーヒーローは
    夢のような空想の話ですが、これから現実世界で生きていく子どもたちには、
    いつもすぐそばにいて味方になってくれるヒーローは、絶対に必要です。
     私が大好きなBTSの歌に『Anpanmanアンパンマン』という曲があります。
    《力こぶや筋肉なんてないよ。スーパーヒーローじゃないから怖いし、
    膝をすりむいたり泥だらけにもなるけど、君が呼んだらすぐに飛んでいくよ、
    君の力になってあげるよ。又つまずくと思うけど、失敗するだろうけど
    本当の正義って決してカッコいいもんじゃないし、そのためには自分も傷つくものなんだよ。
    僕が分けてあげられるのはアンパンとお疲れさまという言葉だけ。
    だけど僕はいつも君のそばにいるよ》・・・なんていうような内容です。
    いよいよ日本のアンパンマンも世界に羽ばたいたか‼ と、
    ちょっと興奮して聞いていたのですが、考えてみれば、
    アンパンは誰でも一つは持っている、とても大切な武器だと思いました。
    BTSは『歌』で、ある人は『微笑み』で、『ハグ』で、『ことば』で、
    『共感』で、あるいは『ただ傍にいるだけ』でその人の力になったり、元気になったり
    ホッとさせたり、勇気を持たせたりするのです。そしてその武器は不滅で危害を加えません。
    その人ならではの恵です。皆さんはどんなアンパンを持っていますか?
    出し惜しみせず呼んでいる人がいたらすぐに飛んで行って、何度でも渡しましょう。
    そして子どもたちには、沢山のアンパンを持った、本物のアンパンマンに育ってほしいです。
     マリア幼稚園も幼稚園から幼保連携型認定こども園へと、
    形態は変わろうとも神様の愛に包まれ、先生方の愛情と保護者の皆様の
    ご理解と支援の下55年間続いてきました。これからもどんなことがあっても、
    この幼稚園が皆さんのジャムおじさんのアンパン工場でいられるよう努力します。
    様々あった1年ですが、これからもどうぞよろしくお願い致します。

  • 謹賀新年
    さりげなく包み、何気なく壊さないために    園長 湯本美奈子
     今年は休園・自粛・中止・縮小と様々な対応にご協力いただきまして
    本当にありがとうございました。
    12月に入って、特に中野市内や北信圏域の感染者が増えてきて、
    どうなることかと心配しましたがクリスマス会も無事終了し、ほっとしています。

     先日テレビでコロナの影響で、引きこもりや自殺者、
    精神障害をきたす人が増大しているというニュースを見ました。
    仕事や内定を失った人は本人だけでなく家族にも大きな負担がかかります。
    経済的な不安に加え、得体のしれない誹謗中傷や差別などで
    どれだけの人が苦しんでいることか・・・。ことばの力がどれほど大きいか
    当事者の話を聞きながら思い知りました。ことばは『力』にもなり『刃』にもなること。   
    何気ないことばに傷つき、さりげないことばに支えられるということを。
     『何気ない』ことばは、自分自身が意識していないから、
    人が傷つくことにも気づかないけれど『さりげない』ことばは、
    自分が意識して相手への思いやりから出るものなので、人の力になるのです。
    考えてみれば私自身、普段『何気なく』話したり動いたりすることの方が
    多いことに気づきます。きっと知らず知らずのうちに
    嫌な思いをさせた人も多かったと思います。傷つけた人は忘れていても、
    傷ついた人は決してそのことを忘れないでしょう。
    私に会うたびに思い出すかも知れません。トラウマになったり、
    逆恨みされる事だってこのご時世、考えられなくもありません。
    それも怖いですが、何気ない一言に尾ひれがついて噂になり
    「みんな(・・・)言っているよ」になり、そのせいで引きこもったり、
    そこにいられなくなったり、自殺したりすることになったらどうでしょう。
    それこそ取り返しがつきません。何気ないことばはそこまでになる
    『刃』になることを意識しなければなりません。
    けれども「あの時先生にそう言ってもらえたから、気持ちが楽になった」
    と言われたこともあります。何を言ったか覚えていなくても、
    その人のことを思ってさりげなく言ったことばだったのでしょう。  
    私も沢山の人に、言われたりしてもらったりした『さりげない』言動に
    何度も救われたり勇気づけられました。「私はガサツな人間なので、
    カトリックの幼稚園など務まりません」と、シスターに就職を泣いて断った時
    「あなたのような人も一人や二人いた方がいいわよ」と言われたのを今でも覚えています。
    さりげなく言われたその言葉にとても救われ、
    そのお陰で今もこの幼稚園に居続けています(笑)
    ことばはその人の宝物にもなりえます。勇気をもって、さりげなく心を遣いましょう。

     みんなが不安で疑心暗鬼になり、人目や噂を気にしながら目に見えない敵と戦っています。
    心身ともに健康で穏やかに過ごしたいものです。
    年末年始もステイホームを心掛け、精神的なストレスを溜めないように、
    家族仲良く過しましょう。
    今年もありがとうございました。 
    よいお年をお迎えください。

  • 11・12月号 『良い知らせのために』     園長 湯本美奈子

    色づいた葉っぱ

     これからまだ11月ですが、様々な行事が中止となってしまったので、
    少し気が早いですがクリスマスに向けてのお話にしたいと思います。
     以前カトリック全国園長研修会の折、『幼稚園経営は難問が山積しているのに、
    何故苦労してカトリック教育を行うのか?』という問いに答えて神父様が
    『子どもたちに福音(ふくいん)を知らせるため』とおっしゃいました。
    福音というのは、聖書の、〝ためになる教え″ではなく
    〝幸福な“音信”…世界に知らせる良い知らせ″である と言われました。
    子どもたちにとって、これから生きていく世界は大変かもしれないけれど
    『心配しなくてもいいよ。大丈夫、大丈夫。』と寄り添って下さるフレンドリーな神、
    イエス・キリストがおられることに気付かせること。
    私たちはその使命のために働くのだと言われました。
    まさにクリスマスは神が人となって来てくださった最高の良い知らせです。
    神は私たちの慰め手であり愛の方で、私たちが今の自分から
    もっと良い方向に変っていくことをいつも願っておられる方です。
     私事ですがステイホーム中、娘が母の日のプレゼントにといって
    アップルTVを買ってくれました。見る時間なんてない!と思っていたのに、
    ご多分に漏れず世のおばちゃんたち同様『韓流ドラマ』にハマって、
    楽しくも寝不足な日々を過ごしています。(笑)
    そんな時、ファンと一緒に『分かち合い活動』を立ち上げ、
    最初の取り組みとしてアフリカの井戸掘り事業に5万ドルを寄付した
    韓国の俳優の記事を目にしました。
    高い会費を払って自分への見返りを求めるのではなく、
    好きな人が喜ぶことを喜んで行うことで、他の誰かが喜ぶ。
    ちょっとしたきっかけで喜びと幸福の連鎖が生まれることに、
    そんなミーハーなら悪くないな~と思ってしまいました。
    自分や親しい人のためにお金や労力を使うのは容易いですが、
    見たこともない人に心を馳せて一歩を踏み出すにはきっかけも必要です。
    そのための待降節にしたいと思いました。
    昨年は台風19号で被災された方への貯金をしました。
    今年はコロナで大変だったとは言え、日本とは比較にならない発展途上国があります。
    水も石鹸も消毒も、そもそも衛生習慣もありません。
    日本でマスクが高騰した時は1枚100円でも買ったことを思えば、
    その分を世界の兄弟たちに、少しでも届けられないでしょうか?
    神父様は続けておっしゃいました。
    「直接行って助けることはできなくても、
    助けようとしている人を助けることはできる」と。
    一人ひとりの力はささやかでも、思いを繋げば形になって
    沢山の人々の助けになれるかも知れません。
    自分の欲をちょっと我慢することにチャレンジし、
    イエス様が喜ばれるクリスマスプレゼントを準備していきませんか。
    私は待降節の1か月、30個チーズケーキを焼いて、
    募金に協力してくださる皆さんにプレゼントしようと思います。
    喜んでいただけることを楽しみに、その思いが兄弟たちに届くのを楽しみに、
    クリスマスまで過ごします。

  • コスモス2
    『気をつけて! 負けないで! 楽しんで!!』            園長 湯本美奈子

     長い夏休みが終わりましたが、今年度は入園式からずっと自粛や休園が続き、
    メリハリがないまま2学期の幕開けとなりました。
    中野市は感染が広がらずとりあえずホッとしていますが、
    今後またどのようになるか先が見えません。
    幼稚園最後の年となる年長さんは、様々な行事が中止になり本当に悔しくてなりません。
    運動会も最年長ならではの花道にしてあげたかったけれど、
    3密を考えると例年のように行うことができません。
    テーマを決めるときも、制約に縛られて元気や勇気が湧いてきません。
    マイナス思考になりがちです。それでもみんなで話し合い、
    『今年だからこそ』気づいたこと、『今年だからこそ』できることが沢山挙がりました。
    ・手洗い、うがい、マスク、消毒・・・
             一生懸命気をつけて徹底したから、みんな元気でいられたね。
    ・遠くに行きたい、みんなで遊びたい、一緒に食べたい・・・
             我慢して、負けないで、頑張ったね。
    ・あれも中止、これも中止・・・
             サクランボ狩りもブルーベリー狩りもスイカ割りも
             アイスクリームも美味しかったね。新しくなったプールでの水遊び、
             シャワーポンプや色水遊びも楽しかったね。
             畑で野菜もたくさんできたよ。色々な食べ方も考えて、
             ポテトチップは「アイスクリームより美味しい~!」だって!
             大きなスイカと大きな花火を持ち帰って、家族で一緒に楽しんだよ。
    ・亡くなった人や苦しんでいる人が沢山いるのに、元気に幼稚園に来られるのは幸せだね。
    ・できることもたくさんあるよ。私たちが元気で笑っていればみんなが幸せになるね。
    ・自分たちに今できることを一生懸命頑張って、たくさんの人を笑顔にしよう!
     
    あたり前なことがあたり前ではなくなって初めて、
    ささやかなことに感謝できること、幸せは与えられるものではなく、
    気づくことなんだと改めて考えさせられました。
    いつもと違うけれど、いつもと同じ気持ちで、今できることを! 
    幸せはたくさん、すぐそこにあります。
     先日、けがをしていてプール遊びができなかった年中のAちゃんが、
    職員室でお絵かきをしながら待っていました。隣りにいたB君は、
    片づけをしないままクラスに行ってしまいました。
    AちゃんはそっとB君がそのままにしておいたお絵かき帳とクレヨンを片付けてから、
    私のそばに来て「先生見て!絵が描けたよ・・・」と見せてくれました。
    「わぁ!いろんな色できれいに書けたね。これは何の絵?」と聞くと
    「園長先生が、お船に乗っているの。これは海だよ!」と言ってくれたのです。
    長いお休みが終わって久しぶりに会えたのに、私は机に向かって仕事をしていて
    構ってもあげなかったのに・・・です。(泣)
     嬉しくて、「ありがとう~!園長先生を書いてくれたの?嬉しい~!」
    と言って抱きしめました。 そのうちにB君が戻ってきたので
    「AちゃんがB君のお絵かき帳を片付けておいてくれたんだよ」と言うと、
    ふつ~に「ありがとう!」とお礼を言い、Aちゃんもふつ~に「どういたしまして・・・」
    とお返事しました。何気ない数分間の関わりでしたが、私の心はすごく満たされ、
    嬉しくやさしい気持ちになりました。
     子どもたちが元気に幼稚園にいて、泣き声や歓声が聞こえ、安全に時間が流れ、
    宝物のような笑顔と会話があふれる幼稚園ならではのひと時。 
    普段の普通がなんて幸せなんでしょう。
     運動会に向けて、コロナにも怪我にも気をつけて、
    又か~ダメか~無理か~に負けないで、
    できることやできるようになったことを楽しみながら、
    笑顔や元気を届けよう!!という気持ちで、運動会に向けてみんなで頑張りたいと思います。 
    どうか運動会ができますように・・・。

  • ひまわりの花と日差し
    『今、必要な栄養』            園長 湯本美奈子
     5月18日から幼稚園の休園自粛が解け、1か月がたちました。
    入園式後からお休みが続いたので不安定な子も多く、6月ではありますが、
    ようやく落ち着いてきたという感じです。
    本来ならこの時期ならではの様々な活動ができる時ですが、制約があってなかなか思うようにならず、
    歯がゆい毎日が続きます。そんな中4,5月のお休み中、先生方がみんなで畑作りに精を出してくれました。
    石拾い、土作り、栄養を十分入れて耕したり、防草シートを貼ったりマルチを掛けたり、
    そのお陰で、今年の収穫の早くて立派なこと!きゅうりはもう既に塩もみにしたり、酢の物にしたり、
    シーチキンとアマニ油で和えたりして何回も食べました。ジャガイモ、サツマイモ、ピーマン、
    二十日大根、ほうれん草・・・未満児さんは、先日ベビーリーフを食べました。
    バジルにパプリカ、トマトも立派に茂っています。一人ずつの名前のカードを刺して
    トウモロコシの種を撒き、毎日印をして、いつ目が出たか、いつ食べられるようになるかなど、
    目で見て毎日楽しみにしている学年もあります。いつ子どもたちが登園してもいいように、
    先生方は毎日様々な準備をして待っていました。手作りの紙芝居やペープサートも作りました。 
    時間をどのように使うか?何のために?誰のために? 家にいてボ~っとテレビを見ていると、
    あっという間に一日は過ぎてしまいますが、先々を考えて準備して過ごせば、
    今になってこんなに成果が出るのだと痛感し、先生方の頑張りに感謝しています。
     どんな植物も動物も必要なものを必要な時に与えないと充分成長しません。
    放ったらかせばもちろんのこと、栄養をあげ過ぎてもだめだし、
    いじり過ぎれば本来の形を損なうことにもなりかねません。
    子どもも同じです。
    時間が経てばそれなりに成長はしますが、人間らしく豊かに育つための栄養は、
    その成果がいつ出るかわからなくても、少しずつでも毎日、必ず与えないと、
    その時になってからでは遅すぎて、取り返すことができないのです。
     では『必要な時』はいつで、『必要なもの』は何でしょう。
    幼稚園では何歳のこの時期にはこんな興味や関心があってこんな力が育つので、
    その力が発揮できるような活動を・・・と個人差にあわせて、集団の中でこそ育つ
    様々な活動を組んでいます。そこには適度な困難や根気が必要だったり、
    友達と協力したりトラブルを経験する必要があったり、一人でじっくり考えたり
    工夫したり我慢したり・・・時には大人が関わらずに待つことも大切です。
    それを繰り返すことで、テレビやスマホやドリルでは培うことのできない、
    『生きる力』や『コミュニケーション能力』や『自己肯定感』が育つのです。
    おうちではどうですか?ことばで、スキンシップで、体を使って関わっていますか?
    本来家庭で育てるべきものと幼稚園や学校で育てるものは違います。
    家庭でこの時期最も必要なのは『やる気』を起こさせるための『栄養』をあげることです。
    早く起きなさい、食べなさい、片付けなさい、静かにしなさい、けんかはやめなさい、
    スマホでも見てて・・・そんな栄養と、
    頑張ったねぇ、すごいねぇ、だ~いすき、見ててあげるからやってごらん、○○ならできるよ・・・。
    どちらが大切な栄養で、やる気が出るか分かりますよね。
    大事な栄養をいっぱいもらって育った子どもからは、嬉しい、幸せな笑顔や
    元気が出ることばや行動が沢山返ってきます。 
    育てたように育つ・・・毎日が楽しみです。

  • てるてるぼうず
    生活を見直す                      園長  湯本美奈子

     年度末から入園式、それ以降もずっとコロナウィルスに振り回される日々で、ストレスが溜まりますね。
    長かった自粛から徐々に解放されつつありますが、まだまだ油断はできません。
    一番心配なのは症状が自覚できない子どもたちです。手洗い、うがい、消毒など大人がしっかり管理して、
    子どもたちを守っていきましょう。子どもは家族と一緒に過ごす時間が多かったので嬉しかったでしょうが、
    大人はいつまで続くかわからない休園や休校、仕事がなくなったり、一つ部屋にずっと顔を突き合わせることで、
    イライラしたり疲弊した人も多いでしょう。寝不足やリズムを崩し、
    体の不調をきたした方もいらっしゃるのではないでしょうか?
    これから夏に向かい、もっと暑い日が続きます。運動不足で動きが鈍った大人も子どもも、
    意識して、今までの生活リズムを取り戻しましょう。
    連休中巣ごもり状態だったので、断捨離をしたり整理をしたら、
    こんなにも物が沢山あったことに気づきました。いつか使う、何かに使うと思いながら、
    取っておいたことすら忘れてしまっていたものも・・・。もったいない限りです。
    でも食べ物に関しては、『賞味期限は私の舌が決める!』的な論理で、戸棚に眠っていた材料を駆使し、
    しばらく買い物に行かずに過ごせました。 おすすめはできませんが、結構大丈夫なものです。(笑)
    そもそも、貧しかった時代は物や場所に頼らず、工夫して家族で関わりながら楽しみを見つけたものです。
    以前食育の第一人者である服部幸應先生が「日本の教育が崩れ始めたのは、家庭の食育が崩れたからだ」
    と話されました。食卓で食事しながらマナーを教わり、お箸の使い方や食べ方を教わり、
    食事の量や好き嫌いを把握し、学校や友だちの話をする。おいしいと共感したり、育てた野菜を味わったり、
    おふくろの味を噛みしめる機会が食卓であり、家族の会話の中に、家庭という温かさや味わいや教育の場があったと。
    今は豊かになって何でもすぐ手に入る代わりに、作ることにも食べることにも『時間をかける』ことが少なくなりました。
    育てることに至っては、もはや皆無の家庭も多いでしょう。
    一人ひとり自分の食べたい物を勝手な時間に食べる。(個食)
    一人で食べる(孤食)
    決まったものしか食べない(固食)
    パン、パスタ、ラーメンなどを好んで食べる(粉食)
    食欲がなく少食(小食)
    味の濃いものを好む(濃食)
    の6つの(コ食)
    おふくろ(母)の味がレトルトなどのお袋の味・・・
    そんな家庭の味や会話や交わりがなくなったことから、荒れる子ども、キレる子どもに変貌し、
    自分勝手で好き勝手な行動をとる日本人になってしまったのだとも話されました。
     今回6月号は、食育がテーマです。裏の畑は地主さんのおかげで全面使用できることになり、
    時間をかけて、世話をして、よく見て気付いて、感動とともに命を育て、
    いただくことの有難さと美味しさを味わいたいと思います。
    コロナを契機に自分たちの生活を見直し、何か一つでも変れることができれば幸いです。
    喉元過ぎれば熱さをすぐに忘れてしまいますから・・・(泣)。
    時間を作る?テレビを止める?スマホを隠す?物を育てる?物を買わない?
    一緒に作る?ゆっくり味わう?何でもいいです。 続けましょう。
    親が子どもに与えられる宝物は、今こそまさに“物より思い出”・・・ですから。

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