2018.07.01
保育サービスは誰のため? 園長 湯本 美奈子
先日沖縄で梅雨明けが発表されました。この辺の梅雨明けも間近でしょうか。
いよいよ本格的な夏がやって来ます。
昨年までに、エアコンも全クラス省エネの新しいものに取り換えましたので、
熱中症に注意しながら、夏ならではの活動を楽しみたいものです。
さて、懸案の御聖堂老朽化に伴う増改築工事も、交付申請が通り順調に進めば
9月から解体工事に入ります。60年間ずっと見守り続けていただいた御聖堂ですので、
たくさんの思い出があり、何だかとても寂しい気持ちになります。
クリスマス会も御聖堂を使っていたのですが、幼稚園棟新築の際に、
舞台として利用していた祭壇の部分が削られて、今の形になりました。
その後はずっと、御聖堂は静かに神様のお話しを聞く場所、神様とお話しする場所として
子どもたちの大切な居場所となっていました。それは新しい御聖堂になる、これからもずっと変わりません。
職員にとっても、朝礼の前や帰りに訪れ、一日の保育や子どもたちの無事を祈り、
感謝し、自分と向き合う大切な場所でもあります。
皆さんには時代や環境が変わっても、変わらずにあり続ける安心の居場所や、人はありますか?
政府は『人づくり革命』と銘打って人材への投資とし、待機児童を解消し
女性就業率80%に対応できる『子育て安心プラン』の一環として来年度10月から
幼児教育無償化を発表しました。年少から年長まで保育料がタダになるというのです。
子育て世代には願ったり叶ったりの法案です。けれどもまだ、詳細は何も知らされていません。
今より少ない時間でも就労扱いになるとか、預かり保育料も無料になるとか、
無認可の施設も対象になるとか…様々な憶測で取り沙汰されていますが、
一番大切な子どもの精神的安定や、親との愛着は、いつどのように育てるのでしょうか?
お金のこと以外はどこにも書いてありません。
先日ある園長先生が「朝登園してきたらお母さんが、うちはお金がないので
朝ご飯は食べさせてありません。宜しくお願いします」と言って子どもを置いて行かれた」
と話されました。また他の園長先生は「夕方、お早うございますと言って
子どもを預けて行くんです。夜のお仕事のために」とも話されました。
お金がないのは悲惨です。教育や愛着以前の問題で、生きていくだけで精いっぱいになります。
お母さんも疲れやストレスで体を壊してしまいます。
子どもの為にも助けなければなりません。ただそのような家庭は今でも保育料は無料でしょう。
所得に関係なく無償化になったら、儲かった!では済まされません。
その時こそみんなで真剣に、そのお金を子どものための何に使おうか?
延長保育が無料なら本当に園に出した方が得?なのかetc.をしっかり考え、
子どもが安心して親子関係を築き、安定した生活を送るために親として
どのように関わるのがbetterなのかを考えなければ、子どもの将来や未来の日本に希望はありません。
何だか固い文章になってしまいましたが、マリア幼稚園の保護者様はきっと理解して下さるでしょう。
どんなに居心地のいい園の環境でも、おうちに代わる居場所はありません。
どんなに善い先生でも、お母さんの代わりはできません。
目先のニンジンに振り回されないよう、遠くの、笑顔あふれる、
生き生きとした大人になった我が子を目指して、一緒に頑張りましょう。
子どもの笑顔が輝く季節です。良い夏休みの体験が親子でできますよう祈っています。