2016.06.29
いよいよ子どもたちの大好きな『夏』がやってきます。
夏休みになったら・・・と、今から楽しみにしている子どもも多いようです。
この季節は身も心も開放的になりますが、事故や怪我のないよう、有意義な思い出深い夏を
過ごしたいものです。
さて先日楽しみにしていたドラマの最終回が終わり、その中で『バーチャルウォーター』
という言葉を耳にしました。
バーチャルウォーターというのは直接飲む『水』のことではなく〝仮想水″といって、
食べ物ができるまでにどれだけの水を必要とするかを推定したものです。
日本は豊かな森に囲まれ、豊富な水資源があって、十分な水が自給できている
と思っていたので、詳しく調べてみて驚きました。
例えばレストランで『ハンバーグセット』を食べ、食後に『コーヒー1杯』を飲んだとします。
牛や豚を飼育するのに必要な牧草を育てるための水、米を作るために必要な水、
バター、香辛料、添え物野菜やコーヒー豆を育てるために必要な水、それらをすべて計算すると
2,500ℓの水が必要になるそうで、それが『バーチャルウォーター』です。
(環境省のホームページに『仮想水計算機』や『web漫画』が載っていますので、
色々やってみると勉強になりますよ。)
日本は食料自給率が35~40%程度で、あとは全て輸入に頼っています。
飲み水や台所、お風呂や洗濯など、人が暮らしていくためには、
最低1日100ℓの水が必要ですが、日本人は今、その2〜3倍も使っているそうです。
実際に目に見える水は、大切に使おうとか無駄にしないようにしようという感覚がありますが、
輸入食料に必要な、バーチャルウォーターのことなど考えたことがありませんでした。
ハンバーグセットとコーヒーを飲んだだけで、約ひと月分の生活用水を
使ってしまっているのですから、すごいことです。
その上、南アフリカやナイジェリアなどの砂漠地帯からもバーチャルウォーターとして
輸入しているそうです。飲み水でさえ枯渇している国から・・・。
だから牛肉も豚肉も食べないとか、コーヒーを飲まないようにしようとか
そういうことを言いたいのではなく、ドラマでは「見えない水を想像した方が、
きっと世界は広がる」と言っていました。
知らなかったことを知ることで、考えたり、想像したり、調べたりする自分がいて、
それだけでも世界が広がりました。
隣人の日に、食べ物のない国の友だちを思い、祈りながらおにぎりを食べていますが、
本当は私たちこそ、食べ物のない国の人々に助けられているのかも知れません。
豊かな生活は当たり前ではないこと、私たちの食べ物は、世界と密接に
繋がっていることも実感することができました。
親子で外食に行った時にでも、この食べ物はどこから来たのかな?
どんな人が作ったのかな?どんなふうに運ばれて、どれだけの人が関わっているのかな?
と想像したり、考えてみるといいかも知れません。
どんな思いが湧いてくるでしょう? 子どもと、どんなお話ができるでしょう?
それだけでも世界が広がります。
2016.05.31
神の愛と自然体験 園長 湯本 美奈子
10年ぶりのバス遠足は好天に恵まれ、久しぶりに自然の中で楽しいひと時を過ごすことができました。
大勢の皆様にご参加いただき、ありがとうございました。
さて、これからは豊かな恵みの雨によって自然の営みが活発になる6月を迎えます。
特にこの月は『聖心(みこころ)の月』といって、イエス様の愛と慈しみの心に倣い、
実践していく月でもあります。前園長の秋元神父様は、自然を創造された神の愛に気づくために
園外保育を始めました。十三崖の洞窟探検や、河原でのなめこ汁、鴨ヶ岳の崖登り、
上林スキー場へソリ滑りにも出かけました。夜間瀬スキー場へ公共バスを使って行き、
山の上に到着した途端、地バチの巣を踏んで大騒ぎになったこともあります。
園内の環境とは異なり、自然に触れるだけで子どもたちは様々な発見や感動をもらい、
心身ともに力をつけていきます。
よく行く北竜湖では、子どもたちは湖に『竜』が住んでいると思っているらしく、
湖が波打ったりすると「ほらあそこにきっと竜が顔を出すんだ!」「きゃ~!」なんて大はしゃぎ。
「湖の色は水色じゃないね。」「山の木の色が映っているから緑なんだね。」・・・などと、
子どもたちは豊かな想像力で、匂い、色、触感、形、音などから敏感に感じ取り、楽しんでしまいます。
園外保育のよさは、本物の体験を通して感性を育てること。それは言うまでもありませんが、
嫌なこと、面倒くさいこと、汚いこと、苦しいことを克服(大げさ?)することによって、
達成感を味わえることでもあります。
今や家庭でもひねる水道の蛇口が消えつつあり、蛇口の下でただ手をかざして水が出るのを待つ子、
手ですくって水が飲めない子、トイレのないところで用を足せない子、
虫がシートに這ってくるだけでパニックになる、山や崖を登る時何かにつかまる事ができない、
坂道で重心が取れない、よく転ぶ、転んだ時にすぐ手が着けない、すぐに疲れたと言う・・・
文化的な生活がそうさせたのかもしれませんが、全て経験不足からくるものです。
大人も子どもも、辛い思いや我慢する機会がめっきり減りました。
山登りの経験のある人は、登頂の感激の前には辛い道のりがあることを知っていますね。
ロープウェイで簡単に登った山はすぐに忘れても、苦労して自分の足で登った山を忘れる人はいないでしょう。
私は、主人と結婚前に何も聞かされずに登った『死ぬ思いの戸隠の蟻の塔渡り』を一生忘れません。
知っていれば登らなかったでしょう。(笑)けれど何にも変えがたい素晴らしい経験でした。
でもそれは登った人にしかわかりません。
以前年長さんと鴨が岳に登っている途中、女の子が「先生、何で私たち、
こんな思いしなくちゃならないの!」と抗議しました。頑張れ頑張れと言いながらお尻を押し、
やっとの思いで頂上まで登った時、眼下に中野市が開けマリア幼稚園の屋根も見えました。
その時その子が「先生私、今まで生きてて良かった~!」と言ったのです。
みんな大笑いです。大げさかもしれませんが肥満気味の彼女にとったら、
難なく登れた他の子より、ずっとその景色には価値があったのだと思います。
苦労が多いほど感動も大きいものです。
暑かったり、苦しかったりすることも、友だちや先生と一緒に経験したことは、
大人になっても忘れられない、幼稚園での大切な思い出になります。
そして神様が創ってくださった自然と共存し、大切にすることは、
私たち一人ひとりを大切にする生き方にも通じていくのです。
2016.04.26
園長 湯本美奈子
入園式から半月がたちました。
大分泣き声が小さくなりましたが、まだまだ思い出しては泣く子がいたり、家から出る時に大泣きで困らせるお子さんもいらっしゃいます。お母さんも大変でしょうが、もうしばらくの辛抱ですから励まして送り出してあげて下さい。また、5月は『聖母月』として、私たちの母であるマリア様に倣い、思慕の念と神様への取り次ぎを願いながら祈りを推奨する月としています。子どもたちが大好きなお母さんにふさわしい“母”になれるよう、祈りながら過ごしましょう。
さて、けがや事故なく無事に一年過ごせますように…と願いながら新学期が始まってすぐ、熊本で又しても大きな地震が発生しました。未だに余震が続き、八代市にいる友達からは毎朝、「今日も無事に目が覚めました。感謝!」とLINEが届きます。カトリックの幼稚園に勤務しているのですが、入園式の前日に起きた為、幼稚園も始めることができず、小中学校も連休明けまで休校だそうです。家に戻った途端、強い揺れで家屋の下敷きになった人も多いので、夜は車中での就寝を強いられ、いつまで続くかと思うと心が折れそうになると言っていました。
ニュースで、カミ・パン・水・SOSと書かれた校庭を目にした方も多かったでしょう。大変なことだ…と思い、何がどうなっているのか、どうしたらいいのかネットで調べてみると、傷口をえぐるような心無い書き込みも横行していて悲しくなりました。
『何事でも人から自分にしてもらいたいと望むことを、人にもしてあげなさい。』(マタイ7‐12)イエス様の みことばです。もし今、私自身の上に同じような災害が降りかかったとしたら、してもらいたいことは何かと考えると、今の自分がどのような行動をしたらよいのか答えが見えてくると思います。阪神大震災から21年、東日本大震災から5年が経ちますが、日を追うごとに何か遠くで起きた出来事のような感覚になることは怖いことです。家族がいて、普通の当たり前な生活ができている自分は、もっと痛み分けをしなければいけないと痛感しています。
枯れている花瓶の花を見ても、感じ方は様々です。「枯れているなぁ」と思う人「気持ちが悪いから捨てよう」と思って捨てる人、「新しい花を飾ればきれいだし見ている人も気持ちがいい」と思って新しい花を買ってきて飾る人。思いやりの段階も様々です。けれど、枯れている花にすら気づかない人もいるのです。私たちは被災された方々のためにどんなことができ、どんな思いで寄り添えるかを共に考えましょう。
いま、福岡教区から支援の要請が届いています。色々な募金活動にご協力いただいている皆様かと思いますが、今回の『ありがとう』の末尾に献金袋を添付させていただきました。この献金は横浜教区を通じて熊本県内のカトリック幼稚園のために使っていただくことができます。14日には親子で楽しいバス遠足も計画しています。一日も早く、親子でそんなひと時が持てるようになってほしいと願っています。
どうか皆様の温かいお気持ちで、ご協力をお願いいたします。
2016.03.26
園長 湯本 美奈子
今年は記録的な暖冬だったせいか、春を待ち望む…というよりあっという間の4月という感があります。
それでもあちこちでさくらの便りが聞かれ、園庭のチューリップが咲き始めると、華やいだうれしい気持ちになりますね。
ご入園ご進級おめでとうございます。今年も沢山の感動と出会えますように・・・。
一足早く2日には保育園部門の入園式がありました。1歳児10人、2歳児23名のまだ赤ちゃんのような子どももいましたが、スムーズで静かで驚いた入園式でした。今日からは幼稚園児144名を含む177名でのスタートとなります。園内外で、歓声と泣き声とが響き渡ることでしょう。(笑)
ゆっくりしっかり育っていくよう見守り指導して参りますので、今年度も保護者様のご支援ご協力を
どうぞお願い致します。
昨年度創立50周年を迎えましたので、100年に向けて又新しい1歩を踏み出しました。私が入った頃は三世代同居が多く、夏休みも春休みもしっかり休み。子どもたちは一日ゆったり過ごし、夕方も早く帰って家の前で暗くなるまで遊んでいた良き時代でした。あれから40年でこんなにも子どもを取り巻く環境が変わろうとは誰が予測できたでしょう。女性の就労が当たり前になった今、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)を真剣に考える時が来ています。
仕事は大事です。男女の区別なく責任のある部署を任され、時間外に仕事をしなくては間に合わなくなってきます。そういう年齢になっていくのです。でも子育ても、ちょうどその時期と重なってきます。
私も子どもを3人育てながらずっと仕事を続けてきました。夫の母や家族に助けてもらわなければ到底無理な仕事でした。いつも、『仕事を持っているから子どもが後回しにされている、子どもがいるから仕事がおろそかになっている』と、ならないように…必死でした。でもそれだけ、この仕事も子育ても、私にとってかけがえのない宝物だったのです。そして有難いことに、疲れてどうしようもなくなった時、私の話を聞いて共感したり、一緒に悩んでくれる人がいました。『したいこと』と『しなくてはならないこと』が見えてきて、おのずと優先順位が決まってきました。
仕事は待ってくれますが、子どものS0Sは後回しにできません。いつまで続くかと思うかもしれませんが、子供が母親を必要とする時間は結構短いものです。辛い時、愚痴を聞いてもらいたい時、助けてもらえる人はいますか?苦しい時は私たちに声をかけてください。お母さんの代わりはできないけれど、お母さんを支えることはできます。お母さんが笑顔でいることこそ、子どもたちにとって最高の栄養剤です。物理的な手抜きは時に必要ですが、仕事を理由に心の手抜きをしては絶対にいけません。ワークライフバランスを考えながら、手段と目的をしっかり意識して、子どもを育ててください。
今年は7クラスに担任1名ずつの他に、加配補助教諭を10名配置しました。一人ひとり環境や変化に敏感なお子さんが増える中、幼稚園としてできる限り大人の関わりや声掛け、スキンシップを通して安定した幼稚園生活を送れるよう配慮しました。お母さんの代わりはいないことを心に留めながら、新しい1歩を踏み出した認定こども園中野マリア幼稚園の歩みを、保護者様とともに模索して参りましょう。
2016.02.21